小児の近視

此処では診療の際に患者さん、特にご父兄の方々から質問される
ことの多い「子供の近視」についてのお話です。


学校等で視力低下の紙を貰って子供さんが帰ってきました。
まず、ご父兄の方々の頭に浮かぶのは
「視力が下がったなんて、とんでもない!」
「メガネなんか掛けさせたくない!」
と言う考えが多くの親御さんの頭に浮かぶと思います。
特に日本人は「視力低下は悪い事」と考える風習があります。
ですから「近視が治る」とか「近視の治療」なんて売り言葉を見ると、
思わず飛びつきたくなりますよね。
でも、眼科医の世界では「近視」ってのは人それぞれの個性みたい
なモノと捉えています。
ですから「近視が治る」なんて考えている眼科医はいません。
ただし「調節緊張症」というのは別・・治りますよ。
この場合は点眼をしていただくと視力は戻り(回復?)ます。
逆にこの点眼で視力が戻らなければ、何をしても戻りません。
ですから、点眼さえしていただければ「訓練」
なんて必要はないことになります。


世の中、「近視」「乱視」「遠視」等、様々な人がいます。
これは身長が高い、低い・・眼が一重、二重・・顔が丸い、
四角い・・等と同じで眼も人によって様々です。
視力と言うのは眼の構造にも一因があるのですが、
難しくなるので省きます。
ですから、身長の高い子を無理矢理に低くさせる事はできませんし、
低い子を無理矢理高くすることもできないように、
視力も無理矢理に上げることは出来ません。
先ほども書いたように「近視」に限らず、
視力低下ってのは個性なのですから・・。
一番良くないのは、視力低下を放置しておく事ですよ。
メガネを掛けさせたら可哀想・・みっともない・・なんて
考えが一番良くないと思います。
それと、良く親御さんから聞かれることは
「メガネの使用は学校の授業中だけで良いですか?」
ってのもありますが、
遠くが良く見えない状態で日常生活を行うことは、
ある意味で危険とも言えます。
遊びに行ってクルマ等が走ってくるのが解りにくく、
交通事故に合うことも充分に考えられますので、
子供のためにも視力が下がったら躊躇せずに
メガネを掛けさせてくださいね。
院長